17さつめ 矢部嵩『紗央里ちゃんの家』 角川書店

★1 
 異常な語り手が、異常な状態に遭遇する。審査員が挙げている『ねじの回転』の主人公は、まだしもその「欠落感」に共感できて面白かったが・・・。序盤以降は娯楽的な欠落感がないです。ギャグを書くのに失敗したみたいな文体が計算なのか、狂気を演出しているのかという点、私には失敗に見えました。主人公はイタイ目に遭っても、妙に現状に満足していて、不安、恐怖といったエンタメ的欠落感は中盤以降目立たなくなる。死体を探すという小さな謎で引っ張るが。
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