1970

25さつめ ストルガツキー兄弟『ストーカー』ハヤカワ

★1 地球に来訪し、人類と接触せずに去っていった超文明が残した禍々しい空間。ゾーンではどんな不可解なことでも起こる。ヘリコプターが煎餅のようにひしゃげる超重力、金属やコンクリートのなかにやすやすと浸透し人間を死に至らしめる液体、そしてどんな…

12さつめ 『限りなく透明に近いブルー』(講談社文庫)

★1 つまらっしゃい。何も起こらない小説なのである。解説の今井氏の解釈が「じつはどのような行為も存在しない」なので、こう書いてもそれほど的外れでもないだろうと思う。日常系だ。薬物と汚物と暴力を部室にした日常系。物語がなく、痛々しい告白がなく…

10さつめ 倉橋由美子『パルタイ・紅葉狩り』

★1 う〜んつまらない。政治の『パルタイ』論争からSFやオカルトに行くのは一見不思議ではあるが、心情や形而上的な深さを感じさせないツルツルした文体なので、面白くするにはモチーフを突飛にする必要があったのかな。『合成美女』でストーリーテリング・…

9さつめ 古井由吉『杳子・妻隠』(新潮文庫)

★2 ミニマムな描写に微に入り細を穿ち過ぎて苦痛。著者は「内向の世代」の代表人。政治もサブカルチャーもない2人か3人の世界。「ロカンタンはマロニエの根っこに嘔吐した」的な、実存の不安、存在論、という感じだろうか。★1としたいところだが、『妻隠…

2さつめ 村上春樹『風の歌を聴け』

★4 学生運動に挫折した鼠。その挫折感は手を変え品を変え、執拗に繰り返す宇宙的な虚無感(「不毛さ」,124)に埋もれて、ハートフィールドの井戸の底に沈んでいく。一言で、ドライな中島義道。 http://book.akahoshitakuya.com/cmt/20755637風の歌を聴け (講…