9さつめ 古井由吉『杳子・妻隠』(新潮文庫)

 ★2
 ミニマムな描写に微に入り細を穿ち過ぎて苦痛。著者は「内向の世代」の代表人。政治もサブカルチャーもない2人か3人の世界。「ロカンタンはマロニエの根っこに嘔吐した」的な、実存の不安、存在論、という感じだろうか。★1としたいところだが、『妻隠』はなにか不安で不穏な感じがして、読み返したい。
 「違う。それから、俺は倒れてる女の足もとに土下座したんだ。そして顔を地面にこすりつけてよ、頼みこんだんだ、一生のお願いだから、やらせてくださいって」(『妻隠』・210)
 「土下座セックス」の元ネタ? 1970年。

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