1さつめ 三島由紀夫『夏子の冒険』 (角川文庫)

★2
 ハルヒじゃねぇかぁあああ〜〜〜って感じの『涼宮夏子の冒険』でございます。「あたくし修道院へ入る」。松浦夏子は20歳の山の手型ご令嬢。言い寄ってくる男をとっかえひするけど、どいつも郊外のマイホームを夢見る器で、呆れて誰ともキスしない。ただの管理社会に興味はありません。「熊へ復讐する」と妙なことをのたまう井田毅に物語を感じ、修道院もやっぱやめて、「開拓地」北海道で二人のRPGが始まる。こっからは「旅立ち→通過儀礼→帰還」のキャンベル型神話なのだが、毅が「日常」に帰ろうとした時、夏子は成熟を拒絶するのであった。
 ヒロイン3人の造形に比して男が凡庸だがそれはテーマ通りで良いのかな。不二子は野生かわいい。1951年。
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/20666488


夏子の冒険 (角川文庫)

夏子の冒険 (角川文庫)